シイタケの菌床栽培は、原木栽培に比べると手間がかからず、採取できる量も安定しているというメリットがあります。
菌床栽培は、オガ粉にフスマや米ぬかなどの栄養分を混ぜ、シイタケが生育するのに最適な培地をつくることから始まります。この培地が『菌床』と呼ばれることから、こうした栽培方法が『菌床栽培』と言われるのです。
この菌床をつくる際、私たちが重視しているのは「安全な原材料しか使わない」ということ。菌床のベースとなるオガ粉は国内産のものだけを使い、育てるキノコの種類によって広葉樹とナラのオガ粉とを使い分けています。そして、このオガ粉に水と穀物のカラを中心にした栄養分を混ぜるだけで、農薬やホルモン剤などは一切加えません。
こうして準備したオガ粉は、直方体(菌床の形)の袋に小分けにし、蒸気で加熱。内部に残っている雑菌を滅菌処理します。その後、十分に冷却し、種菌の植え付けをおこないますが、この作業は、雑菌の侵入を徹底的に防止するため、(精密機器と同じように)クリーンルーム内での作業となります。(写真の青色のライトは、殺菌作用のある紫外線を照射しています。)
種菌の植え付け作業は、専用の機械で、熟練オペレータにより、一つ一つ丁寧に作業。この作業が終わった時点で、小分けにしたオガ粉は完全に密封され、ブロック状の形(菌床ブロック)となります。これ以降シイタケの発生まで、外気と触れることは一切ありません。
密封状態の菌床ブロックは、温度20度、湿度75%の「熟成室」で熟成させます。菌床内の種菌は、1週間ほどで、菌糸体(菌から出た糸状のもの)を培地全体に拡げ始め、見た目が茶色から白へと変わっていきます。
この間、菌は呼吸しているので(人間と同じように酸素を採り入れて)二酸化炭素を排出します。培養室内の二酸化炭素濃度が高くなりすぎると、キノコ生育不良の原因となるため、常に細やかな環境管理必要になります。
こうして、90~120日間かけて充分に熟成させてはじめて、シイタケ発生の準備が整うのです。